モモは、祖母の家の飼い犬。
つまらなさそうにしているので散歩にでも連れ出そうかと、リードを持つと馬のように飛び跳ねました。
気持ちが通じ合ったかのように思えて嬉しくなる。
しかし、モモは木の枝を踏み折る音に怯えるほどの臆病犬。
散歩の間じゅう、ろくに顔を上げることなくひたすら電柱や草むらの匂いを嗅ぎまくる。モモ、と呼んでも反応なし。
……つ、つまらん。
それでも散歩が終われば気が晴れたのか、いくぶんリラックスした顔で僕を見上げて、あくびを連発。
僕なぞどうでもいいみたいね。
気持ちは通じ合って……いないと思います。
祖母の一周忌の法事。